社会の窓から

社会の窓を開け放ち、世界の人々と交わろう。

ElvisとBetlesのはざまで~Johnny Tillotsonの時代 「You're The Reason あんたのせいで眠れんかったわ」(下)

Hank Williams Ⅲ 1972~

https://www.youtube.com/watch?v=JqJDQO3Rcw4

1999年 from an Album

最初から、全部can'tです。don'tとcan'tじゃ、どう違うのか、誰か英語に詳しい人教えてください。1972年生まれということは、ハンク・ウイリアムスの没年(1953年)から20年近く後ということで、もちろんおじいちゃんの歌声には生で接していないわけですが、この曲を聴く限り、むしろお父さんのJr.より、おじいちゃんに近い雰囲気が感じ取れます。ジョニー・ティロットソンがらみで言えば、おじいちゃんはジョニーが崇拝する人、お父ちゃんはジョニーのMGMレコードの同僚(年齢キャリアでは後輩)ということになります。この曲は、全体にフォーガティ盤に準じ、カントリー楽器の駆使や訛りもよく似ています。(親とじいちゃんの14光を避けたいがためか)カントリー歌手としてではなく、敢えて「ヘビメタ」「パンクロック」の分野を名乗っていますが、意外なことに非常に素直な歌唱で好感が持てます。「キープ・ミー」の「ミー」は少し裏返るだけですが、最後の「ユアーザ・リーズン」の「リーズン」が思いっきり裏返ります。「ギターを爪弾く」の後の語はフォガティ盤と同じ。「ハニー」が何度か入ります。「あんたのせいで」「眠れんかった」はありません。 

 

Conway Twitty 1933~1990 and Loretta Lynn1932~

https://www.youtube.com/watch?v=b11KWhQqTSs

1976年 from an Album

実質、ナンバー・ワン・カントリー男性歌手(No.1ヒット曲40曲!)コンウエイ・トゥエッテイと、ナンバー・ワン・カントリー女性歌手(No.1ヒット曲18曲)ロレッタ・リンの、最強のC&Wデユエットです。コンウエイは、ポップス・ファンには、50年代末の「思わせぶり」のポップNo.1ヒットを始め、「ロンリー・ブルー・ボーイ」などロッカ・バラード歌手としての印象のほうが強いかも知れません。ジョニーの「涙ながら」にも歌ってくれています。ちなみにロレッタ・リンは、コンウエイ・トウッテイと組む前に、大ベテラン歌手のアーネスト・タブと組んでいて、2人のラスト・ディオ・ヒットの「フーズ・ゴナ・テイク・ガルべージ・アウト」は、ウィルボーン・ブラザースのテリー・ウイルボーンと、ジョニー・ティロットソンの共作です。僕の知る限り女性メジャー歌手歌唱の「ユアー・ザ・リーゾン」はこれだけ。軽快で太い声のコンウエイのソロのパートのあと、ロレッタのソロパートに移り、やがて2人のデュエットでハモります。軽快な男性コーラスとカントリー楽器群(特にピアノ)が加わり、素朴で楽し気な雰囲気を醸し出しています。「あんたのせいで」を二人で繰り返し、「眠れんかった」はありません。

 

Slim Whitman 1923~2013

https://www.youtube.com/watch?v=ugLpu5vT0Sc

1964年 from an Album

スリム・ホイットマンは、日本でも「北風」の日本独自ヒットで、名前は知られていると思います。ちなみに「北風」は後に、黒人カントリー歌手(コンウエイ・トウッティやマール・ハガードらと並ぶナンバー・ワン・シンガー)チャーリー・プライドが日本語で歌っています(リンゴ・スターの「リンゴ擦った」やハリソン・フォードの「梁り扇」同様、バブル期の日本の恥知らず文化の置き土産)。カントリー・ヨーデルの第一人者です。ジョニーより一回り以上年上ですが、ジョニーを評価してくれているようで、64年にリリースした「シティ・ヒッツ」というアルバムのA面1曲目に「涙ながらに」を取り上げています。続く2曲目が「ユアー・ザ・リーズン」で、CDのライナー・ノーツには「(61年のオリジン3人に続いて)後にやはりジョニー・ティロットソンでもヒットした」と記されています。しかし、ホイットマン盤は64年のリリースですから、「ユアー・ザ・リーズン」に関しては、こちらの方が先行リリースです。透き通った声のソロ歌唱(軽く男性コーラスが重なる)で、曲の構成は異なりますが、全体の雰囲気はティロットソン盤と共通します。他のバージョンと歌詞が少し異なり、途中でキスしたり(むろん妄想です)します。「あんたのせいで」「眠れんかった」はありません。

 

Johnny Tillotson 1938~

https://www.youtube.com/watch?v=SiUXUzEtlHE

1967-1968年 C&W 48位/Canadian Country 24位

ポップスのほうでは、65年12月の最後の週がホット100チャートヒットの最後となってしまいましたが、丸2年置いて、カントリーのほうのチャートに久しぶりに(62年の「夢の枕を」以来)登場します。10週間チャートインし、67年の最終週と68年の最初の週に48位にランクされています。This is ジョニー・ティロットソンとでも言うべき、明るく楽しい失恋(片思い?)ソングです。MGMリリースのベスト盤に、ケイデンス時代のリメイク曲を含めたヒット曲群とともに、アルバムの目玉として納められています。なぜか日本では、シングルもアルバムもリリースされていません(こういったひたすら明るいカントリー・ナンバーは、余り日本人好みではないようです)。ブラスバンドとストリングスが入ります。ソロ歌唱ですが、コーラス(アニタ・カー・シンガース?)とピアノ(フロイド・クレーマー?)を伴った、いつものスタイルです。終盤、半オクターブ?ほど調子を上げて、軽快に「眠れん理由」を並べていくところが素敵です。「あんたのせいで」「眠れんかった」はありません。