社会の窓から

社会の窓を開け放ち、世界の人々と交わろう。

ElvisとBetlesのはざまで~Johnny Tillotsonの時代 「You're The Reason あんたのせいで眠れんかったわ」(中)

Narvel Felts 1938~

https://www.youtube.com/watch?v=ZnmXgpJtIdQ

1982年 C&W 82位

ネーヴェル・フェルツは、カントリー界ではかなりの大物です。70~80年代に多くのカントリー・チャート・ヒットを持ち、80年代にはカントリーとのクロス・オーバー・ポップ・ヒットが3曲(「ユアー・ザ・リーズン」の片面でプラターズのカバー「煙が目に染みる」も84位にチャートイン、81年にはチャック・ベリーのカバー「ロール・オーバー・ベートーベン」64位)あります。ポップヒットはそれだけと思ってたのですが、20年以上遡った1960年に、あのドリフターズ(クライド・マクファクター時代)の、、、というよりも日本ではフォー・シーズンで63年にシングルカットされた「ハニー・ラブ」が、ポップの90位にチャートインしています。元・ロックン・ローラーのカントリー歌手の一人なのです。「ユアー・ザ・リーズン」の全体のコード進行は、ジョニー・ティロットソン盤とほぼ同様ですが、声も伴奏も極めて重厚です。コーラスはほとんどありませんが、ごくごく軽く「トュルトュル」が入ります。「ミー」の部分の声が裏返ります。カントリー音楽に付き物の楽器群も目立ちます。「あんたのせいで」あり。「眠れんかった」は最後にかすかに(はっきりしない発音で)聞こえます。

 

Johnny Burnett 1934~1964

https://www.youtube.com/watch?v=Gy6UrDY0gaA

1962年 from an Album

ポップ・ファンにはお馴染みの歌手。60年代初頭に「ドゥリーミン’(60年Pop 11位)」と「ユー・アー・シックスティーン(61年Pop 8位)」の二大ヒットがあります。共に自作曲で、後者は後にリンゴ・スターがカバーして、No.1ヒットになっています。ヒット曲としては、他に61年にPopのトップ20にチャートインした2曲を

含む3曲と、62年の100位以下の3曲があるだけで、64年にボートの事故で無くなってしまいます。なぜか日本では(本国でも?)50年代後半のロックン・ロール・グループ「ジョニー・バーネット・トリオ」としての評価が絶大で、リアルタイムで実績を残した、ティーン・ポップ&ポップ・カントリー・シンガーとしての評価が見過ごされる傾向があるのは、残念です。「ユアー・ザ・リーズン」は61年末に録音、62年初めにリリースされたアルバム収録曲。ポップとカントリーの両ティストが程よく融合、ジョー・サウス・バージョンをややマイルドにしたような仕上がりで、紹介した全バージョン中、最も平均的な印象です。全フレーズを自分で歌いますが、女性コーラスも上手く重なっています。「トュルトュル」あり。「あんたのせいで」「眠れんかった」付き。

 

Arthur Alexander 1940~1993

https://www.youtube.com/watch?v=BbHFB5nxVkw

1962年 from an Album

唯一の黒人シンガー歌唱盤。ジェリー&ペイスメイカーズ盤の原型となっていると思われます。本人のヒット曲としては、いずれも自作曲で、61年の「ユー・ベター・ムーブ・オン」(Pop24位)を含む3曲があるだけですが、そのうちの2曲(「ユー・ベター・ムーブ・オン」と、62年Pop68位/R&B11位の「アンナ」)が、それぞれ人気爆発時のローリング・ストーンズとビートルズにカバーされたこともあって、ブリティッシュ・ロックの教祖的存在に祭り上げられています。「ユー・ベター・ムーブ・オン」は、ホリーズ盤も秀逸で、僕はリアルタイムで大好きでした。しかし、アーサー・アレクサンダーは、この「ユアー・ザ・リーズン」でもわかるように、カントリー・ソウル歌手としての一面も持っています。メジャーな歌手でも、ブルック・ベントン、ソロモン・バーク、あるいはレイ・チャールスやサム・クックもそうだと思うのですが、「ソウル」要素が持て囃される反面、カントリー的な要素が忘れられているのが寂しい気がします。女性コーラスが美しく(軽く「トゥルトュル」も入る)、  シャウトはしますが、ペイスメーカーズ盤ほどではありません。「あんたのせいで」「眠れんかった」付き。

 

John Fogerty 1945~ (& The Blue Ridge Rangers)

https://www.youtube.com/watch?v=Wc3uq90mT6U

1973年 from an Album

「ロック」ということでは、ビートルズやローリング・ストーンズに対抗しうる、アメリカの超メジャー・バンドが、CCR(クリーデンス・クリア・ウオーター・リバイバル)です。No1ヒットがなく、No.2ヒット5曲(No.2はNo.1よりずっと希少)、ゴールド・ディスク10枚。実質、リーダーのジョン・フォガティのバンドで、グループを解散してからもソロで活動しています。ほぼカントリーの分野に属するといってよいでしょう。良くも悪くも単純明快で、ローリング・ストーンズ誌辺りの価値基準では、実績の割には正統な評価が為されていないように思われます。この曲も、思いっきりカントリー調のバック演奏と、訛りのある発音で、今回紹介した中で最もカントリーっぽい雰囲気を醸し出しています。ここまでのバージョンが全て“I don't sleep at night”だったのが、彼のバージョンでは、(最初のフレーズだけdon'tで)“I can't~”に替わっています。全曲ソロで、コーラスは全くなし。「ミー」の部分の声が裏返ります。“ハニー”が何度も繰り返し入ります。「ギターを爪弾く」のあとの語が良く聞き取れません。「あんたのせいで」「眠れんかった」はありません。